グノーシス思想について

グノーシス主義ってよくわからない、という人が多いのではないでしょうか。今回はそういう方のためにわかりやすく、グノーシス入門です。



キリスト教の考え方は、わりと楽に理解できます。この世は神が創造して、罪を犯した天使たちが悪魔になり、私たちに悪影響を与えているという思想です。グノーシス主義キリスト教から異端視されてきました。その理由は、グノーシス主義は、この世を創造したのは神ではなく、悪しきもの、悪魔だと考えました。なぜなら、神がこんな悪のはびこるひどい世界をつくるはずがないからです。そのため、この世は悪魔が作ったと考え、私たちは、このひどい世界に、肉体という牢獄に閉じ込められていると考えたのです。グノーシス主義キリスト教と同じで、神が悪に最終的に勝利するということは信じたのですが、この世を創造したのが悪魔だと考えたことで、悪魔を崇拝しているとされ、異端とされたのです。また、グノーシス主義は、神がこの世を創造したとはっきり書かれている旧約聖書を全面的に否定することにもなりました。
グノーシス主義者全員ではないですが、一部の極端な考えを持つ人々は、旧約聖書に登場する、アダムとエバを誘惑した蛇をも、肯定的にとらえました。なぜなら、グノーシス主義では世界を作ったのは悪魔だと考えるのですから、真の知識を教えようとした蛇は、グノーシスを示したことになり、私たちに知識を与える最初の象徴になったのです。


グノーシス主義者が考える「救い」とは、この肉体の牢獄から魂を解放すること、真の神に近づくことです。キリストが現れたのは、そのことを私たちに「教える」ためにほかならなかったのです。
グノーシス主義の「知識」を重要視する考え方はキリスト教にたいへんな影響をあたえてきました。グノーシス主義キリスト教を誘惑する蛇と言えるかもしれません。