高貴なる腐敗・妄想狂、最高級のデザートワインに会う

● 貴腐ワインとは何か?

貴腐ワインは最高にやばいワインである。
 

● どうやって作られているのか?

えーとまずぶどうを育てる。
種類はセミヨンかリースリング。俺の飲んだのはセミヨンでした。
普通のワインとは違い、たわわに生ったぶどうに菌を植え付けてカビを生えさせる。
見かけはまるで腐って悪くなってしまったぶどうである。
中身は水分が失われ、干しぶどう状、ぶどうのミイラみたいになっている。
そのため、ぶどうひと房につき1、2滴の果汁しか絞り出せず、
作るのが大変らしい。
オーストラリアは国土が広いので広大なぶどう畑を作ることが可能なため、
とてもリーズナブルな値段で買うことができます。
日本でも作っているみたいですが、少量だし、すぐに政治家とか芸能人とかが
買い占めるのであまり出回らないらしい。
うわさによると1本5〜10万円するとか、しないとか。
ドイツ産は安いみたいです。
 

● カビが生えたぶどうなんておいしいのか?

実はカビのおかげで糖度が上がり、独特の香りが出てきます。
仕上がりはねばりのある、超甘口の、且つ爽やかな、複雑な、深い味わいのあるワインになります。
デザートワインとしていただくのがよし!
もちろん、食前酒としてもOK。意外と和食にも合う。
お酒が苦手な人でも、このやわらかい口当たりなら飲めると思います。
 

● カビ…

ボトリティス・シネレアという灰色のカビです。
でも、カマンベール、ブリー、ブルーチーズ、納豆など、
カビを使って作られる食品って、けっこうあるんですよ。
貴腐ワインも、最初はぶどうの収穫時期が遅れて偶然できたといいます。
偶然といっても、カビが生えているぶどうを、
「あ、これ腐ってるわ。まあいいか。」
と言いながら醸造してみるという勇気(?)があってはじめて、できたんですよね。
納豆もくさやも、絶対、最初に食べてみた人の勇気というのが、
あったはずなんです。
そのへん忘れがちじゃないですか?
「偶然」によって作られた、ということだけ強調されているようですが、
本当は人間の勇気によって、できたんですよ。
だって、たとえば貴腐ワインの場合、育てたワインをカビさせてしまうという失敗は、
人類の歴史上、ただ一度ということはないと思います。
何度も失敗してきて、あるとき、ふと誰かの頭の中に、
「これを使ってみたらどうなるのか」
という疑問がわいてきたのかもしれません。
それか、全部カビさせてしまって、それでもどうしても捨てたくなかった、とか、
偉い人からいついつまでに仕上げろ、と言われていて「できません」と言えなかった、とか、
意味はないけれどムシャクシャしたから、とか、
そんな事情があったのかもしれません。
そういうのが今、最高級のデザートワインと言われている、
というのは、なんとも可食的なアンビヴァレントだなぁ。
 

● どこで買えばいいのか

俺はケアンズのシティワイナリーというワイン専門の免税店で買いました。
値段はえーと、いくらだったっけ。45ドル、だったと思います。
AU$下がってるので、いま日本円になおすとだいたい2,800円ぐらいじゃないでしょうか。
安い。
場所はカジノの前で、通るときに店内からいつもワインの香りがして誘われるんです。
貴腐ワインの他にも、世界初、ここでしか作っていない貴腐スパークリングもあります。
これもまた、違った味わいがあって、おいしいんですよ。
売り切れ次第、販売終了!らしいので、ほしい人はお早めに。
それ以外にも、スパークリング・シラズとか、ワイン焼酎なんてのも、ありました。
もちろん試飲ができます。
俺ははじめて飲んだ時、ほんとに衝撃をおぼえましたよ。
友人に連れられて行ったのですが、今までなぜこれを知らなかったのかと。
それから何度か試飲だけしに行ったりしました。すんません、ワイナリーの方々。
注意:すべて免税品なので、オーストラリア国内ではあけることができません。
もしあけたのがバレたら罰金5,000ドルらしい。あぶなかった。
 

● なんか宣伝みたいですね

えー、ケアンズへご旅行の際には、
ぜひ、貴腐ワインをお求めください。お待ちしております!
 
オーストラリア人はワイン大好きだから、貴腐でなくても、
街にあるふつうのリカーショップに、たくさんおいしいワイン置いてます。
なぜか、白が多いんですよね。意外ですが、白の方が多く飲まれているそうです。
日本でも、安売りのワインはオーストラリア産のものが多いです。
ぜひ試してみてください。
 
 
貴腐ワインのこと
貴腐 - Wikipedia


○シティワイナリーの紹介はこちら
http://ameblo.jp/his-cairns/entry-10050889486.html