元強迫性障害患者の告白

俺は以前強迫性障害だった。そのことについてちょっと詳しく書いてみたい。強迫性障害とは、特に意味もなく奇妙な行動を習慣的にとる病気で、その行動に本人が意味をこじつけている場合もある。症状は、手を洗い続ける、意味もなく数を数える、いらないものを拾ってくる、など様々だ。この病気に苦しむ人はあまり知られていないが一般的にかなり多い。しかし本人が病気だと気づいていないこともある。例えば、手を洗い続けるという症状の場合、本人は「手が汚れているから洗う」と思っていることがあるのだが、その理由で2時間も手を洗い続けるというのはどう考えても普通ではない。また、この病気は何らかの恐怖症(Phobia)(※参照)を伴うことが多い(手を洗い続けるという症状ならば不潔恐怖、疾病恐怖など)。この病気が起こる原因は、物事を認識する神経系に何らかの異常が発生したためと言われている。つまり物事を正しく認識できないため、同じことを狂ったように繰り返してしまうということだ。


俺が強迫性障害だったのはかれこれ10年以上前になる。物心ついていないころから奇妙な行動をしていたのをなんとなく覚えている。症状は年を経るにつれて移り変わって行った。数を数える、ゴミを拾う、寝る前に必ずある行動(机の上の置物を必ず3度触るなど)をする、ものがある特定の角度、向きになっていないと安心しない、同じものを何度も確かめる、などの症状があった。しかし今では、ほとんど症状は消えている。そのきっかけとなったのは、「自分がしたくないことをしている」と気づいたことにあると思う。意味もないことなので、やめなければならないと思い始めたのだ。俺はそのときから「気にしない人間」「いいかげんな人間」になろうと努力してきた。そうするうちに、本当にいいかげんな人間になることができた!今はものを並べる順番や角度なんてどうでもいいし、同じことを何度も確かめることもない。(たまに、強迫が残っていると思うことはあるが)
結局のところ、俺の強迫性障害が治ったのは、神経系に何か変化があったのか、それとも単に時期が来たからなのかは分からないが、とにかく病院に行かずに治ったのだ(実際、自分が強迫性障害だったと気づいたのはid:marcus-k:20040517#p3で紹介した本を読んだほんの2,3年前だ)。今こうやって客観的に強迫性障害を語ることができるのも、そのおかげなのだ。
強迫性障害に苦しんでいる人は、人の話をよく聞いていると結構いることがわかる。そういう話を聞くと、自分がそうだったので、どうしても他人事とは思えない。強迫性障害だけど、他人に相談しても分かってもらえないだろうと思っている人は、思い切って誰かに相談してみたらどうだろうか。カウンセリングを受けてみるのもいいかもしれない。