人はなぜワーホリするのか・妄想狂のワーホリ宣言

俺は今まで生きてきて、いまだに労働の意味を正確につかめていない。
たとえば毎朝目覚まし時計に叩き起こされ、
毎日同じ時間の満員電車に乗る、そんな生活がある。
そんなとき、人のよさそうなおばさんが声をかけてくる。
プラットホームの白線ギリギリに立ってせまり来る電車を見ている俺が、
いまにも線路に飛び降りそうに見えたからだという。
彼女は1個のアメ玉を俺にくれる。
なぜこんな生活があるのか。なんのために?
そしてアメ玉の酸っぱい味が俺を正気に返らせる。
「こんな国出てってやる!」
どうせ落ちぶれるなら。
微笑む死神と嘲笑う天使。
「こんな国出てってやる!」
「こんな国出てってやる!」
俺の乗る飛行機が落ちるはずはないので。
南国まで飛んでいこう。